北海道大学の関連病院として
当科は北海道大学医学部整形外科の関連基幹病院として空知地区の整形外科の中核を担い、また、日本を代表する諸先生が多くの実績を築き上げて参りました.昭和30年に初代院長 故若松不二夫先生のもと開院し,松野誠夫先生(北海道大学医学部整形外科名誉教授)の二代目院長就任により北海道を代表する高度医療施設へと発展しました.また,金田清志先生(同名誉教授)の四代目院長就任により脊椎センターとして飛躍的な進歩を遂げました。その後、三浪明男先生(同名誉教授)が六代目院長就任により全国に2つしかない脊損センターとして発展してまいりました。
脊椎センターとして
金田清志先生(北海道大学医学部整形外科名誉教授)、野原 裕先生(獨協医大名誉教授)、小熊忠教先生(札幌整形外科理事長)、種市 洋先生(獨協医大教授)など脊椎・脊髄疾患における重鎮が多数在籍してきたこともあって、国内有数の脊椎センターの一つとなっています。治療成果は国内学会のみならず国際学会にて発表し、常に国際水準凌駕できるよう努力しております。当センターの手術を見学するために国内外から多くの脊椎外科医が訪れております。平成27年から3年間の間に約40名(海外31名を含む)に及びます。
北海道唯一の脊損センター
平成10年に「勤労者腰痛・脊損センター」が開設され,急性期から慢性期に至るまで、すなわち救急・手術からリハビリテーション・社会復帰に至るまでの包括的な脊損センターとして生まれ変わりました。また、平成28年10月からは「北海道せき損センター」と名称が変わり、脊損医療をコアにした病院を目指しています。同様な形態で運営される大規模専門脊損センターは当院と九州にある総合せき損センターの二施設だけです。しかし、脊椎以外の一般整形外科もこれまで同様に診療・治療・手術をおこなっており、整形外科全般を網羅しています。
脊椎に関して
頚椎症性脊髄症・頚椎症性神経根症・後縦靱帯骨化症・慢性関節リウマチによる脊椎症・腰部脊柱管狭窄症・変性すべり症・分離すべり症・椎間板ヘルニア・変性側弯症・脊椎外傷・骨粗鬆症に伴う病変(圧迫骨折や椎体圧潰など)多岐にわたって専門的に治療しています。頚椎椎弓根スクリューを用いた再建術や腰椎疾患に対する再建術(PLIFやTLIF)のように大きな手術から低侵襲手術(METRx-MDやmini-openTLIF)まで症例に応じて臨機応変な手術のアレンジをしています。また、当院は北海道で唯一の脊損センターになっており脊椎外傷手術の割合が高く、北海道で最も多くの脊椎・脊髄損傷を手術しています。
四肢に関して
変形性膝関節症・変形性股関節症・肩関節障害(腱板断裂)・スポーツ障害・外傷・骨折・末梢神経障害・慢性リウマチによる関節症などを診療しています。人工関節・靭帯再建・骨折手術・神経剥離・神経移行・関節形成などの手術を行なっています。過去5年間で2216例の手術を行なっています。
脊椎手術の試み
小侵襲・低侵襲手術の試み~その1:腰椎椎間板ヘルニアに対するMD(顕微鏡下ヘルニア摘出)とMED(内視鏡下ヘルニア摘出)
ヘルニアに対する低侵襲手術としては①レーザー治療、②経皮的髄核摘出、③MED(内視鏡下ヘルニア摘出)、④MD(顕微鏡下ヘルニア摘出)などがあります。①と②は症例によって限界があること、治療成績が不安定であることより当院では行なっておりません。③と④はどちらも同じ器具(METRx)を使用しています。筒状の器具の中に細いレンズを入れてモニター画面に映しながら手術するか、器具の上から手術用顕微鏡で覗いて手術するかの違いです。当院にはMED、MDどちらの器具もありますが、今ではMDがほとんどです。筒状の器具が使えないときは小皮切用開創器(Casper開創器)を用いてなるべく小さな侵襲で手術する努力をしています。従来の手術に比べて手術直後の傷の痛みが少なくなりました。
小侵襲・低侵襲手術の試み~その2:腰椎に対するmini-open TLIF,mini-open PLIF
従来の固定術に比較して小さな傷で手術する方法の一つです。mini-open TLIFは前整形外科部長の種市が考案し、多くの施設で追試されています。最近では視野改善の目的でmini-open PLIFにアレンジして多用していますが、mini-open TLIF同様に良い成績を得ています。
脊椎インストゥルメンテーションを用いた再建術
頚椎から仙椎にいたるまで多くの脊椎再建術を行なっています、変形や骨粗鬆症が著明な場合には手術に限界がありますが、非常に高い確立で手術を成功に導いています。難易度が高い手術ほど合併症が生じ、これを完全に回避することは不可能ですが、迅速・的確な処置や再手術をすることが最も肝心です。また、インストゥルメンテーション手術を的確に行なう技術も重要で、そのためには手術時間が多少冗長であっても丁寧・安全に徹した手術をすることが鉄則と考えています。
脊椎手術件数
下図は、1984年〜2017年までの脊椎手術件数の推移です。
国際学会
2009〜2017年まで66演題を国際学会で発表しています。
論文
2009〜2017年まで103題(共著含)の論文を発表しています。