北海道せき損センター外科は、北大腫瘍外科出身の常勤医師1名と、北大循環器外科から1名の非常勤医師で診療を行っています。手術日には北大腫瘍外科スタッフドクター1名が手術援助に派遣されます。
当科は2007年から現常勤医の赴任により空知地区で最初に腹腔鏡下での胃・大腸がんの手術を導入しました。以後現在まで90%以上の症例に腹腔鏡下手術を行っています。また常勤医は北大第二外科胆膵グループ出身でもあり、胆管かん・膵臓がんに対する高難易度手術はもとより、胆道手術の経験を活かし胆石症の3つのポート孔での手術(通常は4箇所)を行っています。
また、当院はせき損センターとして手術室が基本的に24時間対応であるため、常勤医1名で対応可能な急性胆嚢炎(胆石)・急性虫垂炎(いわゆる盲腸)などは緊急手術も行っています。
消化管疾患
腫瘍外科として胃・大腸がんの腹腔鏡下手術を長年行っています。また、最近の医学的進歩により術前・術後の抗がん剤治療は当たり前になっていますが、当院で手術される患者さんは全て当院で抗がん剤治療が可能です。なお、近年ロボット手術の方が有利である一部の超低位直腸癌などはロボット導入病院へ紹介しています。急性虫垂炎(いわゆる盲腸)はほぼ全例腹腔鏡下で手術しており、初回発症例などは2〜3日で退院可能です。そけいヘルニア(いわゆる脱腸)は北大第二外科は全国でもトップクラスの最新治療を実践しており、これに基づき全例に腹腔鏡下ヘルニア根治術(TAPP)を行っており、術後数日で退院が可能です。
肝・胆・膵疾患
肝臓がん・大腸がん肝転移に対する肝切除(一部腹腔鏡下でも対応)、胆管がん・膵臓がんに対する高難易度手術(肝門部胆管切除・膵頭十二指腸切除)などを手がけています。また、これらのがんも近年では抗がん剤治療の比率が上がっており、外来化学療法室にて治療しています。
胆石症は3ポートでの腹腔鏡下手術がほとんどで、かつ胆嚢炎による手術困難例にも腹腔鏡下で対応し、開腹移行率は7%台となっています。
乳がん
マンモグラフィ・超音波エコー・MRIなどを備え、乳がん検診も行っています。常勤医は肝臓RFA・PTCDなど超音波下穿刺の経験から乳房のエコー下穿刺による生検においても正確な診断が可能です。
また、かつての定型的乳房切除から、非定型型乳房切除(胸筋温存)、乳房温存手術、腋窩リンパ節完全郭清からセンチネルリンパ生検(SNS)など乳がんに対する術式の変遷を常に現場で実践しており、あらゆる術式に対応します。乳がん治療はサブタイプ分類により治療法がほぼ確定されるため、これに沿って外来化学療法室での治療も行っています。
呼吸器疾患
気胸、大腸癌肺転移などに対し、腹腔鏡下での手術を行っています。肺がんについては、診断の段階から遺伝子パネル検査など対応が専門化しているため、現在当院では治療は行っておりません。
特殊外来
ストーマ外来(月1回)
30年以上の歴史があり、当院で手術された直腸がん術後や排便困難な脊髄損傷の患者さんの人工肛門(ストーマ)を診察し、皮膚などのケアを行なっております。
PEG(胃ろう)外来(月1回)
特に脊髄損傷により経口摂取の困難な患者さんに対する胃瘻造設・交換が主です。外科手術ではなく、内視鏡下に増設しており患者さんへの不可を最低限にしています。すでに胃瘻造設をされている患者さんへの交換なども状況によっては対応しています。