泌尿器科

特色

当院の泌尿器科は、泌尿器科疾患一般の診療に加え、脊髄損傷などの神経障害によって発生する排尿障害(神経因性膀胱といいます)を専門的に診療しています。特に労災事故や交通事故、スポーツ外傷などによって発生する脊髄損傷の排尿障害については、当院開設以来、急性期から慢性期に至るまでを一貫して診療する病院として、道内はもとより国内外にも広く知られています。現在も当院を退院された多くの脊髄損傷の患者さんが全道各地から定期検査を受けに来られています。

また、尿路性器癌や前立腺肥大症など一般泌尿器科疾患の治療にも力をいれています。

診療内容

脊髄損傷においては早期からの尿の管理が非常に重要で、それぞれの患者さんにとって適切な排尿法を選択し、尿路合併症を予防する必要があります。さらに急性期以後も排尿状態や尿路のチェック、尿路合併症の治療など長期にわたるケアも必要です。
当院には脊髄損傷の患者さんのための入院病棟があり、そこでは、排尿法を決定するための種々の検査や手術を含めた治療を行っています。外来では慢性期の脊髄損傷の患者さんの定期的経過観察などを行っています。脊髄損傷の男性患者さんでは射精の障害がみられることが多く、当科では人工射精装置により患者さんから精液を採取し、北大産科の協力により、人工授精による不妊症の治療にも取り組んでいます。

また、前立腺肥大症や尿路性器癌、尿路結石など他の泌尿器科疾患の治療も北大泌尿器科や砂川市立病院などとの連携により、積極的に行っています。

当院の泌尿器科医師の減少のため、大きな手術には対応しておりませんが、それ以外の治療は当院で可能です。現在、北大病院と砂川市立病院からの出張医師が、それぞれ週に1回外来診療にあたっており、複数の医師が必要となるような治療については、これらの病院で治療を受けることができます。治療終了後は、また当科で引き続き定期的な経過観察を受けていただくことも可能です。

当科ではこれまで、20年余りにわたって、血液透析をはじめとする血液浄化法に取り組んできました。医師数の減少により、平成21年春をもって、慢性腎不全に対する血液透析治療は、市立美唄病院の透析部門が市内の患者さんに対する血液透析を一括して行うことになりました。
急性腎不全に対する透析療法や血液吸着、血漿交換などの治療には対応しています。

前立腺の病気や過活動膀胱という病気が増えています

泌尿器科の疾患には悪性腫瘍(がん)や結石、炎症などさまざまなものがありますが、社会の高齢化にともない、前立腺の病気(前立腺がんや前立腺肥大症)や過活動膀胱、尿失禁という病気が増えつつあります。

前立腺がん
前立腺がんは、過去にはよい検査法がなく、また自覚症状が乏しいことから、進行した状態でみつかることが多く、完治の難しい病気とされていました。しかし、現在、前立腺がんは前立腺特異抗原(PSA)検査という方法により、かなり早期に発見できる病気です。治療には手術・放射線・内分泌療法などいろいろな選択肢があり、患者さんの状態やご希望により治療法を選ぶことができます。また前立腺がんは進行がほかのがんと比較して進行が遅いため、がんが見つかってもすぐに治療を行わず、経過をみることもあります。
当科ではPSA検査を行って、異常があった場合、針生検という方法で前立腺にがんがあるかどうかを確認し、以後の治療法を決定しています。PSA検査は血液を採るだけの検査で、結果を早く知りたい方には1時間以内に結果を報告することもできます。前立腺肥大症のように尿が出づらいなどの症状で当科を受診される方にも、原則としてPSAを調べますので、偶然に早期の前立腺がんが見つかることもあります。50歳を越えた男性の方は一度検査を受けられることをおすすめします。

前立腺肥大・過活動膀胱・尿失禁
前立腺肥大症や過活動膀胱、尿失禁のことをQOL疾患といいます。QOL疾患というのは直接生命にかかわることはないが、快適な生活を送るために支障となる、つまり生活の質(QOL)を落とす病気のことをいいます。これらの病気では「尿が出づらい」、「排尿の後がすっきりしない」、「尿が近い」、「突然尿意をもよおすと、トイレまで急がないと間に合わない」、「尿が漏れる」などの不快な症状に悩まされます。そのために「旅行や外出はしない」、「友人の家に遊びにいけない」、「屋外でのスポーツを楽しめない」など自分のやりたいことが制限されてしまいます。これらの症状は年のせいだと、あきらめている人が多いようですが、実際には優れた治療法がいろいろあり、完全に治すこともできるようになりました。当科ではこれらの病気に対して積極的に治療を行っていますので、お気軽にご相談ください。きっといい治療法がみつかると思います。

実績(平成19年度)

  • 入院患者数:177名
  • 外来患者数:10805名
  • 手術件数:160件
  • 全身麻酔 113件
  • 腰椎麻酔  44件
  • 局所麻酔   3件

臓器別手術件数

  • 腎 3件
  • 尿管 23件
  • 膀胱 65件
  • 前立腺 47件
  • 陰嚢・陰茎・尿道・精巣 16件
  • 血管手術(内シャント等)6件